アニメは“量産化”の罠にはまった

 加えて、大量制作時代になったことで、別の問題も発生している。それは作り手側のモチベーションの低下だ。

 10年前であれば、忙しい中でも1つの作品に対して注力できる環境があった。監督や脚本家、作画関係の担当も「これは俺が作ったものだ」と自負し、作品がヒットすれば、次回作の制作への意欲をさらにかきたてられるという好循環となっていた。

 しかし、現在のように流れ作業のごとく作品をこなさなければならないとなると、クリエーターにしてみると「作らされている感」が強い。当然、作品への思い入れも薄れてくる。

 このモチベーションの低下は作品の品質に大きな影響を及ぼす。結局のところ映像作品の出来は、作り手の熱意に左右されるところが大きいからだ。予算の多寡は関係するにせよ、現場の作り手がどこまでこだわって作り込んだかが、如実に映像に出てくる。

 こうした状況であっても、ヒット作があればまだ救われるが、冒頭で見たようにそれもほとんどない。その結果、モチベーションはさらに下がり、作品にも影響が出てくる。これがファンを失望させる。


作りたいものを作れなくてモチベーションの低下というと、ぱにぽにだっしゅ!ネギま!?(の『ノルマ』こなしの部分)のテンションの違いを思い出すわけだが(←記事にはあまり関係なかろう、まあ確かにぱにぽにだっしゅ!を作ったぞという自負や思い入れはガイドブックなり同人誌なりで知ってるし、ネギま!?の『作らされている感』も感じるが)。
10年前ってーと1996〜1997年?Wikipediaではテレ東の夕方にマニア向けアニメが目立ちだしたりオタク向け深夜アニメが登場したりといった年らしいが。


しかしこの特集は、アニメ化しすぎることによる制作のリソース不足には触れないのね。